【セカンダリー案件について】
低圧セカンダリーとは、電力系統における低圧で供給される二次側の電力を指します。
・低圧:日本では一般家庭や小規模商業施設向けの電圧(100V/200V)のこと
・セカンダリー:変圧器(二次側)の出力側の電力供給のこと
低圧セカンダリー案件とは、家庭や小規模施設向けに100V/200Vの電力供給を対象とした電気工事や設備導入のことです。主に照明・コンセント工事、太陽光発電・蓄電池の設置、小規模店舗の電気設備工事などが含まれます。
俗にいうセカンダリー案件とは、既存で稼働している太陽光発電所の売買を指します。 そのため、過去の売電実績を確認でき、今後の売電収入を予測できるメリットがあります。 一方で、太陽光発電所を新設する場合には、発電量がシミュレーションよりも下回ったり、稼働してすぐに故障したりする可能性があります。
【参考:電力分野での各キーワード】
プライマリー(一次側):変圧器の入力側(高圧の電力が供給される側)
例:6.6kVの電力が供給される電柱の変圧器の一次側
セカンダリー(二次側):変圧器の出力側(変圧後の電力が供給される側)
例:変圧後の100V/200Vの電力が供給される家庭や施設の電気系統
高圧プライマリー :電力会社の送電線から 変圧器の一次側に供給される高圧電力
高圧セカンダリー :電力系統において 高圧(6.6kVなど)で供給される変圧器の二次側の電力
低圧プライマリー案件とは、低圧用変圧器の一次側(主に6.6kVの高圧)を扱う電気工事や設備導入の案件を指します。高圧(6.6kV)の電力を扱うため、専門資格が必要(電気工事士・電気主任技術者など)です。主に電力会社・大手電気工事会社が関与する変圧器の設置・交換が中心であり、家庭向けではなく事業用の設備案件が多いです。
【太陽光発電のセカンダリー市場拡大について】
➀太陽光発電のセカンダリー市場拡大の背景は、FIT(固定価格買取制度)のメリットが低下したことにある
FITにより安定収益が保証され、新規の太陽光発電所が増加しましたが、FIT価格の低下により新規発電所の利益が減少。その結果、高い買取価格で認定された中古発電所への投資が増加しました。 さらに、2020年の制度変更で低圧太陽光発電(10kW以上50kW未満)の全量売電が不可となり、既存発電所の需要がさらに高まりました。ただし、自家消費用やソーラシェアリング発電所は売電が可能です。
➁太陽光発電のセカンダリー市場に事業会社が参入した背景は、再エネ意識の高まりにある
以前はファンドや金融系投資家が中心でしたが、SDGsやESG投資の推進により、事業会社も再生可能エネルギーを確保する動きを強めています。現在、多くの企業が自社ビルや工場の空き地に太陽光発電設備を設置し、自家消費型の再エネ活用を進めています。 また、減価償却目的の投資家による売却が、セカンダリー市場の売り物件増加の要因となっています。 事業用太陽光発電所は減価償却の対象となるため、節税目的で購入されることがあります。その後、減価償却を終えた発電所が現金化のため売却され、セカンダリー市場に出回るケースが増えています。
➂太陽光発電所の売却と投資先としての需要増加は、コロナ禍による影響が背景にある
新型コロナウイルスの影響で事業環境が厳しくなった企業は、資金確保や経営資源集中のために太陽光発電所を売却することが増えました。一方で、安定した売電収入と電力需要の増加を受けて、投資家は太陽光発電所を低リスク資産として注目し、新たな投資先として選ぶ傾向が高まっています。
【買い手にとっての太陽光発電所のセカンダリー市場のメリットについて】
メリットは、中古購入により収益予想がしやすく、すぐに発電・売電が始められる点です。
新規建設の場合、発電量のシミュレーションにはばらつきがあり、実際に発電してみないと正確な収益予想が難しいですが、中古の場合、過去の実績データを基に現実的な収益予想が可能です。また、新設には時間がかかるのに対し、中古購入はすぐに運転開始できるのも大きな利点です。
中古の太陽光発電所は融資を受けやすいというメリットがあります。 新規・中古問わず、太陽光発電所は高価格商品であり、購入時に融資が必要なことがあります。
中古の場合、過去の稼働実績に基づいた収益予想ができるため、金融機関からの融資が受けやすくなる傾向があります。